滋賀県のローカルフードと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?近江牛や琵琶湖の魚、それとも謎のご当地パンでしょうか。
滋賀の食文化は、日本最大の湖である琵琶湖の恵みと、歴史ある近江商人の文化が融合した、非常にユニークで奥深いものです。
このページでは、地元民の食卓を支える滋賀県のローカルフードを徹底的に深掘りします。
「近江ちゃんぽん」や「焼鯖そうめん」といった定番の郷土料理はもちろん、 琵琶湖の固有種を使った伝統食、地元でしか味わえないディープなソウルフード、 そして「赤こんにゃく」のような個性的な伝統食材まで、幅広くご紹介します。
この記事を読めば、あなたの滋賀への旅が、より豊かで美味しい「食の探求」となること間違いなしです。さあ、知られざる滋賀県のローカルフードの魅力に迫りましょう!
滋賀県全域で愛される!絶対外せない定番ローカルフード
滋賀県のローカルフードの魅力を語る上で、外すことのできない「定番中の定番」をまとめてご紹介します。これらは、滋賀県の歴史や風土に深く根ざし、地元民が誇りをもって他県に勧めることのできる逸品ばかりです。まずは、近江牛、麺料理、伝統的な発酵食など、幅広いジャンルから7つの滋賀県のローカルフードを見ていきましょう。
日本三大和牛の一つ!「近江牛」を気軽に楽しむ
滋賀県のローカルフードの最高峰といえば、言わずと知れた「近江牛」です。約400年の歴史を持ち、きめ細かく柔らかな肉質と、甘く芳醇な脂の香りが特徴です。高級食材ですが、精肉店の直営レストランや、手軽な専門店では、リーズナブルに楽しめます。
近江八幡市の「カネ吉山本」や「千成亭」など、県内各地の老舗精肉店では、切り落としやスジ肉を使った牛丼やカレーが、地元価格で提供されており、これも立派な滋賀県のローカルフードと言えます。
滋賀を代表する麺料理!あっさり出汁が特徴の「近江ちゃんぽん」
滋賀県のローカルフードの代名詞とも言えるのが、「近江ちゃんぽん」です。長崎ちゃんぽんとは全く異なり、彦根市発祥の「ちゃんぽん亭総本家」がルーツです。
豚骨ではなく醤油ベースのあっさりとした和風出汁に、たっぷりの野菜と豚肉、魚介を煮込んだスープが特徴。途中で卓上のお酢を加えて味変するのが通の食べ方で、老若男女に愛される優しい味わいです。
湖北地方の甘辛い味!ご飯にも合う「焼鯖そうめん」
長浜市を中心とした湖北地方の郷土料理、「焼鯖そうめん」も外せません。農繁期に手軽に栄養補給できるように考案された料理で、焼いた鯖を甘辛い醤油出汁で煮込み、その煮汁でそうめんを炊き合わせています。
そうめんに鯖の旨味と甘みがじっくり染み込み、濃厚ながらも懐かしい味わいです。「翼果楼(よかろう)」や「夢の小路 良太郎」など、長浜の古い街並みで味わうのがおすすめです。
琵琶湖の恵みが生んだ発酵食の代表格「ふなずし」
滋賀県のローカルフードの中でも、最も個性が強く、日本の寿司の原型とも言われるのが「ふなずし」です。塩漬けした琵琶湖固有のニゴロブナを飯(いい)に漬け込み発酵させた、なれずしの一種です。
強烈な香りと酸味、独特の旨味があり、好き嫌いが分かれますが、滋賀の食文化の深さを象徴する逸品です。長浜市の「徳山鮓(とくやまずし)」などで、その歴史を味わってみてください。
寒い冬に欠かせない!特大椎茸の「のっぺいうどん」
こちらも長浜市周辺の郷土料理で、寒い冬に愛される滋賀県のローカルフードです。大きな椎茸や湯葉、かまぼこなどの具材を葛粉などでとろみをつけた餡に仕立て、うどんにかけた温かい料理です。
餡が熱を閉じ込めるため、体が芯から温まります。生姜の風味が食欲をそそり、寒い日の滋賀観光の際の一服におすすめです。提供するお店は長浜市内に多くあります。
近江商人の文化が育んだ「近江牛コロッケ」
「近江牛」を最も手軽に楽しめる滋賀県のローカルフードといえば、コロッケです。精肉店が軒を連ねる近江八幡市や彦根市の周辺では、揚げたての近江牛コロッケを食べ歩きするのが定番です。
良質な牛脂と切り落とし肉の旨味がジャガイモに溶け込み、サクサクの衣との相性は抜群。1個100円前後と手頃な価格も魅力で、小腹が空いたときに最適です。
滋賀県民の味!伝統的な京都風醤油ラーメン
滋賀県のローカルフードとして、ラーメンも重要な位置を占めます。滋賀県は京都に隣接しているため、鶏ガラベースのあっさりとした醤油スープの中華そばが根付いています。
大津市の「ラーメン みふく」など、長年地元民に愛される老舗が多く、シンプルながらも奥深い味わいが特徴です。こってり系が多い現代において、昔ながらの優しい味わいが支持を集めています。
【琵琶湖の恵み】湖魚・水産物を使った伝統的な郷土料理
滋賀県のローカルフードの核となるのが、琵琶湖で獲れる固有種を含む様々な湖魚(こぎょ)を使った料理です。海のない滋賀県では、湖の魚が貴重なタンパク源として、古くから食文化の中心を担ってきました。特に冬の味覚や、ご飯が進む佃煮など、独特の風味を持つ伝統料理をご紹介します。
琵琶湖の宝石「ビワマス」と幻の高級魚「ホンモロコ」
琵琶湖固有種の魚の中でも、特に珍重されるのが「ビワマス」と「ホンモロコ」です。ビワマスはサケ科の魚で、脂の乗りが良く「琵琶湖のトロ」とも呼ばれ、刺身やあめのいおご飯(炊き込みご飯)として高級料理店で提供されます。
ホンモロコはワカサギに似た魚で、上品な味わいが特徴。天ぷらや唐揚げ、甘露煮などで食されます。大津市や高島市の湖畔沿いの食事処で、新鮮な湖魚料理を味わうことができます。
★関連記事:エビやシジミを味わう!お弁当にも人気の「えび豆・ごりの佃煮」
琵琶湖で獲れるスジエビ(エビ)やゴリ、コアユ(小鮎)などの小魚は、佃煮として加工され、滋賀県のローカルフードの食卓に欠かせない常備菜となっています。
中でも「えび豆」は、スジエビを大豆と一緒に甘辛く煮付けたもので、ご飯やお弁当のおかずとして大人気。大津市の「しじみ飯」も、セタシジミの旨味が凝縮された、滋味深い滋賀県のローカルフードです。
すき焼き風の湖魚鍋!琵琶湖周辺に伝わる「じゅんじゅん」
「じゅんじゅん」とは、滋賀県の湖北地方を中心に伝わるすき焼き風の鍋料理のことです。具材は様々で、鯉や鮒、鮎といった湖魚を使うこともあれば、鴨肉や鶏肉を使うこともあります。
鍋を煮込む際の「じゅんじゅん」という音から名付けられたとされ、甘辛い出汁で魚や肉、野菜を煮込むことで、食材の旨味が最大限に引き出されます。冬場に長浜市などで提供されることが多い、温まる滋賀県のローカルフードです。
地元民が日常使いする!ディープなソウルフード&隠れた名物
観光客向けの派手なグルメではなく、地元民が長年変わらずに愛し続けている、本当にディープな滋賀県のローカルフードの世界へご案内します。これらは、日常の風景に溶け込んでおり、そのユニークな発想やシンプルな味わいこそが、滋賀県の食文化の奥深さを物語っています。
衝撃の組み合わせ!テレビでも話題の「サラダパン」
木之本町の老舗「つるやパン」が販売する「サラダパン」は、その斬新な具材で全国的にも有名になった滋賀県のローカルフードです。
コッペパンに挟まれているのは、マヨネーズで和えた細切りのたくあん(漬物)。シャキシャキとしたたくあんの食感と塩気が、マヨネーズとパンの甘みに絶妙にマッチし、一度食べたら忘れられない中毒性があります。
具がほぼない!? 甲賀・湖南エリアのシンプル麺「スヤキ」
甲賀市や湖南市周辺に伝わる「スヤキ」は、究極のシンプルさを追求した滋賀県のローカルフードです。「谷野食堂」などが有名で、提供されるのは麺と少量のネギのみ(たまにモヤシ)という、具がほとんどない焼きそばです。
味付けは自分でソースや塩、コショウをかけて調整するのが一般的で、庶民的でリーズナブルな価格が長く地元民に愛される理由です。このシンプルさこそが、滋賀県のローカルフードの魅力の一つです。
昔ながらの製法が光る!老舗の和菓子とパン屋
滋賀県には、近江商人の文化が根付いた老舗が多く、その伝統的な製法が光る和菓子も滋賀県のローカルフードの一部です。特に、丁稚羊羹(でっちようかん)は、安価で手軽な水羊羹のようなもので、冬場に愛されています。
また、多賀大社の名物である「糸切餅」も有名です。素朴ながらも歴史ある製法で守られてきた味わいは、滋賀県の日常を支える大切な味です。
エリア別ローカルフード対決!湖北・湖東・湖南で異なる食文化
広大な琵琶湖を囲む滋賀県は、地域によって全く異なる食文化が存在します。特に、湖を基準にした湖北(北側)・湖東(東側)・湖南(南側)の食の違いを知ることは、滋賀県のローカルフードの旅を深める鍵です。各エリアを代表するグルメを知り、効率よく食べ歩きを楽しみましょう。
湖北(長浜・米原):海の幸の代用品と温かい麺文化
長浜市や米原市を中心とする湖北地方は、日本海側と山間部の文化が混在しています。ローカルフードは、京都への物流ルートであったため、海産物(特に鯖)の加工品が多く見られます。
焼鯖そうめん、のっぺいうどんといった甘辛く煮込んだ温かい麺料理が発達し、厳しい冬を乗り切るための鴨鍋も有名です。また、伊吹山麓の「伊吹そば」もこのエリアの滋賀県のローカルフードです。
湖東(彦根・近江八幡):近江商人と城下町が育んだ味
彦根市や近江八幡市を中心とした湖東地方は、城下町や近江商人の本拠地として栄えました。このエリアの滋賀県のローカルフードは、経済的な豊かさや流通の利便性が反映されています。
近江ちゃんぽんや、手軽に食べられる近江牛コロッケなど、庶民的ながらも質の高い食材を使ったグルメが発達しています。また、「赤こんにゃく」といったユニークな食材もこのエリアの象徴です。
湖南・甲賀(大津・草津):京文化の影響と独自の喫茶文化
大津市や草津市は京都に近く、滋賀県のローカルフードにもその影響が見られます。例えば、あっさりとした醤油ラーメンや、しじみ飯などの繊細な出汁文化が特徴的です。
一方で、甲賀市の「スヤキ」のような極端にシンプルな麺料理や、老舗喫茶店で愛される洋食系ソウルフードなど、地域独自のB級グルメも強く残っています。
伝統野菜・食材から紐解く!滋賀独自のユニークな食文化
滋賀県のローカルフードを支えるのは、独自の風土や歴史が育んだ伝統食材です。見た目のインパクトがあるものや、古くから薬膳的な効果が期待されてきたものなど、その背景を知ると滋賀県の食がさらに面白くなります。ここでは、三つの代表的なユニーク食材に焦点を当てて解説します。
織田信長ゆかりの珍食材「赤こんにゃく」の秘密
滋賀県のローカルフードの中でも、特に目を引くのが鮮やかな赤色をした「赤こんにゃく」です。近江八幡市の特産品で、その赤色は三二酸化鉄で着色されています。
この赤色は、織田信長が派手好きで、地味なこんにゃくを嫌ったため、あえて赤くさせたという逸話が残っています。煮物やおでんの具材として使われ、食卓に彩りを添える滋賀県ならではの食材です。
漬物から和え物まで!滋賀伝統の「日野菜漬け」
「日野菜漬け」は、日野町発祥の伝統野菜「日野菜」を使った漬物で、鮮やかなピンク色と独特のほろ苦さが特徴の滋賀県のローカルフードです。
茎から葉にかけて紫色にグラデーションがかかるのが特徴で、シャキシャキとした食感と、ご飯が進む塩加減が魅力。漬物だけでなく、丁字麩と合わせたからし和えなどにも使われます。
煮物や汁物に欠かせない!独特の形をした「丁字麩」
「丁字麩(ちょうじふ)」は、正方形の独特な形をした、滋賀独自のご当地麩です。日持ちがするため、近江商人が携帯する保存食として発展したと言われています。
弾力のあるモチモチとした食感が特徴で、煮物、お吸い物、すき焼きの具材として広く使われます。水で戻してからし和えにするなど、主菜としても活躍する滋賀県のローカルフードの万能食材です。
まとめ
この記事では、滋賀県のローカルフードをテーマに、琵琶湖の恵み、歴史、地域ごとの個性が詰まった絶品グルメをご紹介しました。
近江ちゃんぽん、焼鯖そうめん、ふなずしといった定番の郷土料理から、サラダパンやスヤキなどのディープなソウルフード、そして赤こんにゃくといったユニークな伝統食材まで、滋賀県の食文化の奥深さを感じていただけたかと思います。
滋賀県のローカルフードの魅力は、単なる美味しさだけでなく、その背景にある風土や人々の暮らしにあります。
次回の滋賀県訪問の際は、ぜひ本記事を参考に、地域ごとのグルメや伝統食材を味わい、滋賀県の食の歴史と文化を肌で感じてみてください。



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